【きものエトセトラ】単衣の着物編

「単衣(ひとえ)の着物ってなに?」

「どんな季節に着るの?」

いろんなギモンを解決!単衣きもののエトセトラ特集です!

単衣(ひとえ)の着物とは?

きものには、大きく分けて「袷(あわせ)の着物」と「単衣(ひとえ)の着物」と「夏着物」があります。

反物(表地)を着物に仕立てるときに、裏地類をつけるものを袷の着物、つけないものを単衣の着物と呼びます。

また夏着物は、仕立て方は単衣の着物と同じですが、絽(ろ)・紗(しゃ)・麻といった透け感のある素材で作られたもののことを言います。

袷(あわせ)の着物

背中部分には、胴裏(どううら)という白い絹の生地がつきます。

すそには、八掛(はっかけ)というきものと同系色、または好みにより、きものに合った色の生地をつけます。

八掛には主に、写真のようにボカシの入った生地と無地タイプの2種類があります。

単衣(ひとえ)の着物

胴裏・八掛といった裏地がつかない一枚ものの着物です。

ただし裏地がないため、座るときなどにヒップのラインが目立たないよう、居敷当(いしきあて)という生地をつけることもあります。

夏着物

仕立て方は単衣の着物と同じですが、反物の素材が絽(ろ)・紗(しゃ)・麻といった、透け感のある素材で作られています。

単衣きものを着る時期

基本的には、6月と9月のみです。(7月と8月は、ゆかたや夏きものを着ます)

しかし、昨今の温暖化もあって、5月くらいから着るのもアリ!

(きものは“季節感をちょっと先取り”がおしゃれなのです。)

ただしお茶会などの正式な席では、基本通りがマナーです。

単衣の着物をつくる時の反物選び

『裏地を付けない=単衣きもの』ですので生地は自由に選ぶことができますが、裏地が付かないことを考慮すると、単衣の着物の表地(反物)はハリのあるしっかりしたものを選ぶ方がオススメです。

春と秋の単衣きものコーディネート

ひと口に「単衣のきもの」と言っても奥が深く、

◎夏に向かう単衣(6月)

◎秋に向かう単衣(9月)

があります。

夏に向かう単衣きものと秋に向かう単衣きものでは、長襦袢・帯・小物選びも違ってきます。

写真を例に、比較してみましょう。

長襦袢

6月の長襦袢

6月に着る長襦袢は絽の生地です。

袖口は、表地を折り返して縫ってあります。

単衣の着物と同じ仕立て方なので、「単衣仕立て(ひとえじたて)」と呼びます。

9月の長襦袢

秋に着る長襦袢には、絽の生地は用いません。

いわゆる長襦袢用の生地を「単衣仕立て」にするか、「袷仕立て(あわせじたて)」にするかのどちらかです。

左の写真は、袷仕立ての場合の袖口の拡大です。

生地を2枚貼り合わせるようにして縫ってあり、袷の着物と同じ仕立て方なので「袷仕立て」と呼びます。

6月の帯

夏へ向けて、見た目にも軽い素材の帯を締めます。

この時期に締める帯は、さわやかな雰囲気でやさしい色合いのものがよく合います。

6月の終わり頃には、夏帯を締めるのもおしゃれのひとつです。

9月の帯

「ざっくりとした素材、ぽってりとした見た目」の帯がGOOD!落ち着いた色味が多く、いろいろなきものに合わせやすいのが特徴です。

写真の帯は、お太鼓の部分に「ぽってりプチプチ」な素材が織り込まれていて、年齢を問わないおしゃれ感がたっぷり。

ひと口メモ

衣替えのタイミングに迷ったら、着物より帯の季節を先取りするのが良いされています。6月からの夏帯には(絽、絽綴、麻など)、9月からは袷用の帯をされると良いでしょう。どの帯をしたら良いか困ったらオールシーズンに使える博多帯を選んで頂くのが良いですが、フォーマルには着用できませんので、ご注意下さい。

半衿

6月の半衿

6月には、長襦袢に絽(ろ)の半衿を付けて着ます。

絽は通気性が良く、涼しげな透け感が魅力的な生地です。きものから覗く半衿におしゃれをプラスすることで、ぐっと小粋な印象が深まります。

9月の半衿

つるつるした生地の「塩瀬(しおぜ)」や、しぼのある「ちりめん」の半衿を使用します。このふたつは半衿の素材として最もポピュラーで、柄ものや刺繍ものなどのデザインが豊富なため、様々なおしゃれ遊びが楽しめます。

帯揚げ・帯締め

6月の帯揚げ・帯締め

清涼感を感じさせる絽生地の帯揚げに、レース編みの帯締め。

瑞々しいレースの帯締めがキュっと夏らしさを引き立てるので、暖色系のきものにもよく合います。

9月の帯揚げ・帯締め

夏物とは異なり、帯揚げはちりめん素材のものがとても多く、帯締めもまたデザインやカラーが豊富です。

色とりどりの組み合わせにより、きものや帯の表情をがらりと変えて楽しめます。

足袋

通年、一般的には綿素材の足袋でOK。単衣のために買い揃える必要はありません。ただし、盛夏の時には麻素材の足袋に変えても良いです。

写真を交えてシンプルにまとめてみましたが、今回の『単衣の着物』特集はいかがでしたか?

色・柄だけでなく様々な素材感も楽しめる単衣きものは、とても情緒があってなんだか優雅な気持ちにさせてくれます。

日本の四季をイチバン感じられる単衣きものを着て、お出かけしてみませんか!

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